2010.11.27 Saturday

省エネ住宅Q&A【その6】高断熱だけでなく高気密にもするのはなぜ?

【Q】

高断熱とセットで高気密という言葉をよく耳にします。


高気密というと、なんとなく息苦しい感じがします。


なぜ高気密にする必要があるのでしょうか?



【A】

高気密が必要な3つの理由

高気密にする理由は3つあります。


(A)断熱のため(B)内部結露を防ぐため(C)換気をスムーズにするため──です。


ひとつずつ解説しましょう。


まず、(A)断熱のため。


天井や壁に40cmの断熱材を入れたとしても、すき間風がピューピュー入るようでは暖まりません。


服に例えてみましょう。分厚いセーターを着ていても、

風が吹けばツーツーと冷気が通ってしまい、セーターが頼りないものに感じます。


そこでセーターの上にウインドブレーカーを羽織ればたちまち暖かくなって、

セーターが保温材だと実感できるようになります。



このように断熱性と気密性は切り離して考えることはできないのです。


次に、(B)内部結露を防ぐため、についてです。


第5回で、内部結露の原理を説明しました。


そして壁の中に水蒸気が侵入するのをビニールシート(防湿層)で防ぎ、

少しだけ入ってしまった水蒸気は結露しないうちに外に放出させてしまうことが対策だと述べました。


この時、防湿層があってもすき間があれば水蒸気はツーツーに入り込んでしまうことを説明しました。
 

図1は、すき間があると水蒸気が大量に壁の中に侵入することを示唆したものです。


カナダの高断熱・高気密住宅(R2000住宅)のマニュアルに載っています。



ここに本文を記入してください。


図1 1m×1m石こうボードから透過する湿気の量(カナダR2000住宅マニュアルより)



内装の下地材に使われる石こうボードは、それ自体が湿気を透過しますが、その量はわずかです。


1m角の石こうボードで、一冬に、わずか1/3Lです。


でも2cm角の小さな穴を開けてみると、一冬に30Lもの湿気が壁の中に侵入します。


気密化は水蒸気の移動を遮る最も重要な対策なのです。


天井裏や床下にもすき間から水蒸気が侵入しています(図2)。


床下は、室内からの水蒸気が移動するだけでなく、

土壌からも湿気が上がってくるために壁、天井とはちがった複雑な動きをみせます。


いずれにしても水蒸気が天井裏や床下に流れないように「気流止め」をしなければいけません。


これがいわゆる「上下の気流止め」というものです(図3)。




ここに本文を記入してください。


図2 いろいろな部位で起こる内部結露





ここに本文を記入してください。

図3 内部結露対策(冬)





入り口から出口に導くため、気密が不可欠



最後に、(C)換気をスムーズにするため。


換気計画の原則は、(1)常時(2)出入り口を明確に(3)必要な量を換気──です。


この3つの項目のうち気密にかかわるのは、(2)の出入り口と、(3)の必要な換気量の2つです。


出入り口を明確にするというのは、屋外の新鮮な空気を人間に供給するために、

寝室など居室から給気(入口)し、ニオイや水蒸気の出る便所、浴室、キッチン、

そして化学物質の滞留しやすい納戸から排気(出口)する流れをつくることです(図4)。





ここに本文を記入してください。

図4 換気計画の出入り口



ストローを思い出してください。ストローに穴を空けると、

ジュースを吸おうとしても吸い上げることができなくなります。


これと同じで、すき間だらけの家では出入り口を定めることができません。


高気密住宅というと息苦しいものと誤解する人が少なくありません。

高気密の目的はいったん高気密につくっておいて、

きちんと出入り口をつくる(給・排気の穴を開ける)ことにあります。


穴が開くのですから密閉しているのではありません。窓だって自由に開け閉めできます。


機械換気を運転するのですから、さわやかな空気だって流れます。


いつも密閉しているわけではなく、息苦しいことはないのです。


必要な換気量の確保とは、

生活する上で空気が汚れることを防ぐために必要な量を換気することです。


住宅の場合、換気回数で0.5回/時とされています。


換気回数とは、家(または部屋)の空気が外の空気と、

1時間に何回入れ替わるかを示したものです。


例えば、40坪の家だと1時間に約150m3の空気が入れ替わる計算になります。


ちなみに便所や浴室についている小さな換気扇は50m3/時程度ですから、

便所2カ所、浴室の計3つの換気扇を連続運転すれば150m3/時の換気量を確保できます。


換気には自然換気と機械換気があります。


自然換気は図5のように風力と温度差で起こります。


家の中の温度が外より高くなると、下から入って上から出て行く流れが起こります。


温度差が大きければ大きいほど換気量は増えます。





ここに本文を記入してください。

図5 2階建て住宅の模式図。


自然換気は風力と温度差で起こる。


風力換気は、外部の風で一律に換気の力が働く。


温度差換気は、上は排気、下は給気という空気の流れが生じる




気密にするから適正に換気できる


気密性と、温度差や外部の風速による自然換気量の関係を示したのが表1です。



ここに本文を記入してください。

表1 換気回数に及ぼすすき間・風速・温度差の影響
(建築研究所とプレハブ建築協会の戸建て住宅の自然換気に関する調査研究による)




風速3m/秒は日本の平均であり、6m/秒は強い風です。


また、日本の古い家はすき間だらけで気密性が9cm2/m2程度だといわれていました。


しかし、今の新築住宅は窓がアルミサッシに変わり、

基礎が布基礎になり、耐震のために合板を張るようになって、

高気密を意識しない家でも平均で5cm2/m2程度に高まっています。


さて、すき間が5cm2/m2だと風速3m/秒では0.38回ですから0.5回に不足します。


つまり今の新築住宅はすき間風頼りにはできず、機械換気が必要ということです。


ところが強風が吹けば0.67回になって換気過多になってしまいます。


9cm2/m2にすると風速3m/秒で0.5回になりますが、強風だと0.89回にもなってしまいます。


これでは安定した必要な換気量が得られません。


そこで気密を2cm2/m2に高めてみます。


風が3m/秒の時に0.17回、6m/秒でも0.3回で、まったく不足します。


不足してもよいのです。


この不足分を機械換気で補えば、常に安定した換気量が得られるのです。


これが気密化と換気計画との関係です。


気密にするから換気が必要になるのですが、気密にしなければ換気は適正に働きません。


お分かりいただけましたでしょうか。


ここまで踏み込まないと高気密住宅の真の姿は見えてこないのです。




【回答者】 南 雄三(みなみ ゆうぞう)





6回にわたってお送りした【省エネ住宅Q&A】シリーズは、これで終了です。



これを書いている1週間、

「松下社長 Creative Collection」をやっていますので、とにかく忙しかったです。



ちなみにこの1週間、私が設計した家だけで4件のご契約をいただきました。

※そのうちの2件は今日。



その間に、本社展示場の上棟もありましたし、

お客様の地鎮祭もやりましたし、現場も見て回っていますし、

明日から少しずつ、紹介しますね。




「松下社長 Creative Collection」、

おかげさまで、絶好調です♪




2010.11.20 Saturday
本日、本社新展示場を上棟!& 『松下社長 Creative Collection』開催!
http://mhome-syatyou.jugem.jp/?eid=973#sequel


「松下社長 Creative Collection」 途中経過のご報告♪
http://mhome-syatyou.jugem.jp/?eid=980#sequel




 
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