2018.07.31 Tuesday

ローコスト住宅と高級住宅の違いってどうなの?【その13】

ローコスト住宅と高級住宅の違いってどうなの?【その12】からの続きです。

 

恐れ入りますが、前の記事から読んでいただけたら幸いです。

 

 

 

大手住宅メーカーの36坪・3,200万円の家と、

 

ローコスト住宅メーカーの36坪・2,200万円の家で、

 

どこがどう違うのかを考えてみますということで、

 

 

1.外観デザインや外装材など外装まわりについて

 

2.構造について

 

3.内装まわりについて

 

4.設備について

 

5.性能について

 

5-1 断熱性能について

 

5-2 防火性能

 

5-3 防犯性能について

 

5-4 バリアフリー性能について

 

と進んできましたが・・・

 

昨日は、バリアフリー性能のうち、「階段のバリアフリー」については、

 

お伝えしたいボリュームが多く、明日書きますと書きましたので、

 

今日はそこを書かせていただきたいと思います。

 

 

 

 

5-4 バリアフリー性能(階段のバリアフリー)について

 

 

家庭内事故での死亡者数は、毎年1万人を超えていて、

 

昨年3,694人の交通事故死よりもずっと多いんです。

 

 

●家庭内での事故死は不慮の窒息(31.9%)と溺死(28.6%)が多く、

 どちらも浴室内が多く、特に溺死は90%以上が浴槽内で起きています。

 

●次いで、転倒・転落(19.4%)、煙・火および火災への暴露(11.4%)と続く

●転倒・転落では、意外にも同一平面上の事故死が44%を占める。2番目は階段で19%
 

 

家庭内事故による死亡者のうち、階段で亡くなる方は・・・

 

転倒転落19.4%×階段19%=約3.7%

 

 

1万人超の3.7%、毎年400〜500人程度でしょうか。

 

 

しかし、死亡にまでは至らなかった事故は、おそらくその数百倍とか千倍とかあるでしょう。

 

 

死亡に至らない事故のうち、病院に行くことになった事故を調べると、

 

やっぱり、「階段」は最も危険な場所なんです。

 



国民生活センターには、

全国20の協力病院から商品関連事故データを収集する「危害情報システム」というのがあって、

そのデータから、家庭内事故全体についての傾向が見えてきます。

 



国民生活センターの「危害情報システム」の集計結果。

内容の説明はこの後に書きます。

 

 

 

4才迄の乳幼児の階段事故が最も多く、65歳以上の倍

階段で事故にあった人の年齢は、0〜4歳の乳幼児が33.4%を占めて最も多く、
65歳以上の高齢者も15.0%と多くなっています。

 

20代が12.0%、30代が14.3%、意外と若い方も多いんです。

ただし、50歳以上になると重症や死亡事故など、けがの程度が重くなる傾向があります。

 

 

 


階段で起こったけがの種類別集計。

説明はこの後に書きます。
 

 


骨折が多く、後遺症が心配なケースも多い

階段でのけがの種類では「擦過傷・挫傷・打撲傷」が65.0%で多く、次いで「骨折」が15.9%です。


家庭内の骨折事故件数では、階段は23.9%を占め、階段は骨折の最も起きやすい場所です。


「脱臼・捻挫」、後遺症の起きやすい「筋・腱・血管の損傷」「頭蓋内損傷」といったケガでも、

階段は家庭内事故の件数で第1位です。


このように、階段は、住宅の中でも重大な事故の起こりやすい、非常に危険な場所なのです。


特に、乳幼児のいらっしゃるお宅は、その危険性をよく理解しておく必要があります。



また、誰でもいつかは高齢者になるわけなので、
いずれにしても、これから家を建てる方が階段を設計するにあたって、
設計者は、いかに階段事故を減らすかを考えるよく考える必要があるのですが、
私が他社の図面を見ていて、残念ながら、危険な図面が非常に多数あるのが現状です。
ローコスト住宅メーカーでは、危険な階段図面が非常に多く、
大手住宅メーカーでも、階段の安全設計ができている会社と、できていない会社があります・・・





では、階段事故を極力減らすための設計について、書きます。


安全な階段の条件とは、

ヽ段の勾配は緩やかなほど安全。

⊆蠕△鯲沼Δ棒瀉屬垢襦

3段は真っ直ぐにして曲がる部分を作らないか、曲がり部分をより安全な設計にする。
 ※曲がり部分での事故が非常に多いため

3蠅蠅砲い階段材を使用するか、滑りにくい加工をする。

っ壁,鮑遒蕕覆い、足を引っかからない設計にする。



この後は、上記の項目を詳しく説明していきます。
 

ヽ段の勾配は緩やかなほど安全。


階段の勾配は、住宅金融公庫のバリアフリー基準を満たす程度が一般的です。


住宅金融公庫のバリアフリー基準とは、22/21(蹴上寸法/踏み面寸法)以下の勾配です。


住宅性能表示制度でバリアフリー最高等級(マツシタホームでは標準で対応可能)だと、

6/7(蹴上寸法/踏み面寸法)以下の勾配です。




通常の天井高(2,400〜2,500くらい)では、

住宅金融公庫のバリアフリー基準を満たす程度の22/21だと通常では14段以上、

住宅性能表示制度でバリアフリー最高等級の6/7だと通常では17段以上になります。
 

 

 

階段の蹴込み寸法と踏面寸法について。
 


建築基準法(最低基準)と、住宅金融公庫基準、年金バリアフリー基準、住宅性能表示制度の等級5基準

 

 

 

階段の蹴上げ・踏み面とは、図の中の矢印で示した部分。





⊆蠕△鯲沼Δ棒瀉屬垢襦

階段は上るときより、降りるときの方がずっと事故が多いため、

片側手すりは、降りるときにつかみやすいように利き手側が基本ですが、

実際には利き手と逆側に倒れてしまうことも普通にありますよね。

 


だから、階段事故のリスクを減らそうと思えば、両側手すりがおすすめです。



3段は真っ直ぐにして曲がる部分を作らないか、曲がり部分をより安全な設計にする。
 ※曲がり部分での事故が非常に多いため
 

ストレート階段が一番望ましい階段形状ですが、

曲がり部分を含む場合は、曲がり部分の階段形状に一定の決まりがあります。


最も一般的である、公庫のバリアフリー基準でも決まりがありますが、

競合他社の図面を見ていると、大手も含めて、正直、よく間違っているのを見ます。


人の命を預かる仕事なのに、業界の意識が低いことに、悲しくなります。

 

 

 

バリアフリー3〜5等級以上の場合の階段の曲がり部分の規定。

私は、最低限、これは守らなくてはならない決まりと思っています。
 

 


直階段は子供の頃落ちた経験があるからとか、落ちた話を聞いたとかで、嫌う方も多いのですが、

実は、勾配を緩くしたり、両側手すりなどの安全対策をすれば、
最も安全な階段です。



(い)の階段形状の場合、下の階の最初の部分でのみ、90度以下にしても良く、

30度(正方形の3段割り)以内が公庫などバリアフリー基準全ての決まりです。


階段の途中や、一番上の部分で曲がっている場合、

踊り場しか設けてはならない決まりになっています。


これ、他社の図面で時々、間違っているのを見かける一つです。


このような設計では、曲がり部分で転落することが非常に多いため、危険です。




(ろ)(は)の折れ曲がり階段(これを回り階段ということが多い)の場合、

(ろ)の踊り場、踊り場で折り返すのが理想です。




しかし、それではスペースを取るため、

(は)の60度、30度、30度、60度の角度で180度折り返すか、

ここには絵がありませんが、踊り場、30度、30度、30度で180度折り返すか、

このいずれかが、公庫などバリアフリー基準全ての決まりです。


これも、他社の図面で時々、間違っているのを見かけます。




90度未満(通常は30度の2段割りか45度の2段割り)の階段を設けて曲がる場合、

階段を降りるときにその部分で転びやすいため、

曲がり部分の直下には、踊り場か、または下の階、

つまり曲がりの下には平らな部分がないと危険ということになります。


その唯一の例外が、踊り場、30度、30度、30度で180度折り返すという形状です。


この回り方は、一番、リズムよく回れて、つまずきにくいと言われていて、

万が一、転んだ時にも下の60度の部分で止まるからです。



こ蠅蠅砲い階段材を使用するか、滑りにくい加工をする。

これは、国内大手メーカーの住宅用の階段材として市販されているものなら、

ほとんどはそういう配慮がされていると思いますので、まずは大丈夫です。


元々、階段材以外の素材を階段材として利用する場合などは、

設計者に念のため、確認した方がいいと思います。
っ壁,鮑遒蕕覆い、足を引っかからない設計にする。

これは、公庫のバリアフリー基準にはなく、住宅性能表示制度の最高等級だけの基準ですので、

あまり一般的ではないですが、やるに越したことはありません。
(弊社でも一部仕様のみの標準です)

 
ちなみに、段鼻とは、次の図の部分で、
 
足を引っかからないようにする部材を入れるということになります。
(弊社では段鼻段差解消材と呼んでいます)

 
階段踏板の先っぽの部分、蹴込板より出ている部分を段鼻といいます。

 

階段は、最悪、事故死もありうる危険な場所で、

子供も若い方もケガをする可能性が低くない場所ですが、

他社図面を見ていて、キチンとできている会社は少ないので、

これは非常に由々しき事態で、実は、9年前に書いたことがあるのですが、
 
またいつか書いて問題提起しなくてはと思っていたんです。


そういう思いもあって、とても長文になってしまいました・・・

 

階段の設計、最低限、バリアフリーの基本レベルと思われる

住宅性能表示制度でいう3等級のレベルは最低でもクリアしておきたいものです。



 

【その14】

 

 

 

 


 
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