2016.10.25 Tuesday

2000年に強化した現行の耐震基準は改正なしの結論【その2】

2000年に強化した現行の耐震基準は改正なしの結論【その1】 からの続きです。

 

 

恐れ入りますが、前の記事をお読みいただいてから、読んでいただければ幸いです。

 

 

 

日経ホームビルダー11月号「2000年基準は改正なし」の結論

昨日はこの記事を紹介しましたが、今日はその続きで、

画像はこの先の話しの見出しです。
 

 

 

 

熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会は、

 

「2000年基準で倒壊した木造住宅3棟は、明確な倒壊要因が確認できなかった」

 

と報告書に記載して、活動を終えました。

 

 

 

委員会のメンバーで木造住宅の被害調査と分析にあたった京都大学教授の

 

五十田博さんに、報告書に記載しきれない教訓を聞いた。

 

 

 

Q.報告書で2000年基準は有効としたことをどう思うか?

 

 

 

五十田

 

まず、2000年基準で倒壊を含む被害を防いだことは確か。

 

しかし、完璧でないこともわかっていて、その点が露見した。

 

 

例えば、2000年基準の住宅でも接合部に問題が生じたものがあった。

 

四分割法や壁量計算の固定化中に関する課題も見つかった。

 

講習会やマニュアルなどで伝えてきたつもりだが、現場に周知できていなかった。

 

これは反省点だ。

 

 

壁量を見直す議論もあるが、

 

今回の地震動に耐える必要壁量を壁量計算だけで求めると、今の1.5〜2倍になる。

 

それくらい思い切ったことをしなければならない。

 

建物には大小様々だが余力があり、実はそれ相当量をカバーしていて、

 

ほぼ安全性が保たれている。

 

 

 

Q.新たに判明した倒壊原因は?

 

 

 

五十田

 

大半は、9月29日に国交省国土技術政策研究所(国総研)と建築研究所が開催した

 

発表会の思慮に追加されている。

 

 

益城町の辻の城地区に建つ耐震等級2の住宅(報告書ではA-1)は、

 

局所的に大きな地震動が作用したと考えられるが、接合部にも問題があった。

 

 

益城町宮園地区で観測された地震動を入力したウォールスタットの解析では、

 

南側のバルコニー下にある1階耐力壁の柱脚などが外れて倒壊に至った(図1、2)。

 

 

問題のある接合部を補強すると、倒壊しなくなる。

 

 

問題の接合部は、真上ではなく、少し離れた位置に2階の耐力壁があった。

 

 

1階と2階で耐力壁や柱が不連続な箇所にあたる。

 

 

接合部の計算方法を例示しているいわゆるN値計算法は、真上の耐力壁だけを考慮する

 

式になっているので、不連続な箇所では接合部の必要体力が計算結果に現れない。

 

 

そのため、接合部が強度の低い仕様になった。

 

 

これは、N値計算法の制定当時から指摘していた。

 

 

 

〈図1〉接合部に不備があった住宅A-1
 

 

 

 

〈図2〉N値計算法で1階接合部が強度不足になる例

 

 

 

 

南側のバルコニー下の対rY区壁の接合部については、

 

バルコニーの加重が軽くて抑え効果が期待できないにもかかわらず、

 

N値計算法で押さえ効果の大きい係数を当てはめていたため、

 

接合部がさらに過少になっていたと考えられる。

 

 

 

耐力壁や柱が上下でずれた個所では、真上に耐力壁が存在する前提で

 

1階の引っ張り力を計算するのが一番安全側の対策だ。

 

 

 

 

Q.激震地だった宮園地区に建つ2棟の倒壊原因は?

 

 

 

五十田

 

住宅A-3は、建築基準法の壁量計算は満足しているが、

 

許容応力度計算では10%程度不足していた〈図3〉。

 

 

 

上〈図3〉建物重量がオーバーだった住宅A-3

 

下〈図4〉余力が小さかった住宅A-4

 

 

 

 

 

総2階建てで思い外装材を使っていたため、壁量計算で想定している固定荷重よりも重く、

 

壁量不足を招いたと考えている。

 

 

固定荷重の前提条件の周知が必要である。

 

 

住宅A-2は、壁量計算にも許容応力度計算にも適合していた。

 

 

へ都合部の仕様が図面でよくわからないこともあり、

 

た地震動に対して壁量が不足していたことまでしか解明できていない。

 

 

ただ、住宅A-2のすぐ近くに建つ、軽微な被害で住んでいた2000年基準の住宅は、

 

解析でも倒壊しないことが確認できた〈図4〉。

 

 

その住宅のように住宅A-2の垂れ壁と腰壁を耐力壁仕様の面材に変えて解析したところ、

 

倒壊しない結果となった。

 

 

垂れ壁、腰壁という建築基準法が氷解していない「余力」の大小が明暗を分けていた。

 

 

 

 

Q.余力をどう考えたらいいか?

 

 

 

五十田

 

 

益城町を襲った地震動は建築基準法の想定を上回るものだった。

 

 

これほどの地震動ならもっと多くの住宅が倒壊するはずだが、多くが倒壊に至らなかった。

 

 

その理由は、木造住宅にかなりの余力があるからだ。

 

 

余力とは、前述した垂れ壁や腰壁、下地材等の非耐力壁だけでなく、接合強度や材料の安全率、

 

設計上の限界変形と倒壊までの変形限界の差など様々な要因からなる。

 

 

益城町に建つ2000年基準の住宅の図面を解析すると、

 

余力を含めた壁量の実態が建築基準法の2〜3倍になるものが複数見つかった。

 

 

耐震等級2や3にするよりも、余力を大きくするほうが、効率的とも思えるほどだ。

 

 

最近、どこまでを設計と呼ぶべきかとよく考える。

 

 

余力まできちんと理解して設計をすることが建築のプロには求められていると言ったら言い過ぎか。

 

 

ただ、余力が倒壊に大きく関連している事は間違いないので、

 

余力の設計に必要な情報を我々は提供しなければならない。

 

 

余力まで設計するのは大変だと言う人は、必要壁量を1.5から2倍にするのが現実的だ。

 

 

 

 

Q.今後の取り組みは?

 

 

五十田

 

倒壊原因の解析は続ける。

 

 

検討が必要なのは地盤の影響について。

 

 

どのような時に局所的に地震動が大きくなるのか。

 

 

国総研主任研究官の中川隆史さんが作ったウォールスタッドは、倒壊原因の解析に強い力を発揮した。

 

 

ウォールスタートの解析制度をさらに高めるためのデータ収集も必要だ。

 

 

倒壊を防ぐ性能値も実大実験で改めて調べたい。

 

 

必要最低限ではなく、耐震性能を高めた設計訪問提案しなければならない。

 

 

例えば、四分割方やN値計算法は建築基準法を満足する住宅用に作ったもの。

 

 

大地震でも軽微な被害にとどまる耐震性能にするなら、

 

釣り合いの良い配置や接合部の設計も、それに見合ったものにするべきだ。

 

 

 

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ここまでの記事のように、熊本地震後の被害調査の結果、

 

現行の耐震基準である2000年基準で建てた建物は、違反建築と原因不明の建物を除き、

 

倒壊することはなかったため、現行耐震基準は有効と判断され、

 

見直す必要なしと判断されました。

 

 

 

昨日の記事でも書いたように、倒壊しなければいいというものではないですよね。

 

 

でも、大地震の確率が低いからと考えると、

 

もし、大地震がなかったとしたら、そこまでの耐震性能にする必要はないわけで、

 

その確率にお金をかけえるより、万が一、大地震があった時には、命さえ助かれば、

 

例えば、地震保険に住宅ローンをプラスして建て替えればよいという考えもあります。

 

 

 

だから、現行の耐震基準を変更する必要なしといのは、私は理解できます。

 

 

 

熊本地震級の地震が万が一起きた時に、どのくらいの耐震性能があれば、

 

地震後も住み続けられる耐震性能を保つことができるのでしょう?

 

 

 

わたくしは、そのためには建築基準法が求める壁量の2倍が必要と考えています。

 

 

この記事にあるように、建築基準法で計算しない余力分が効くという話もありますが、

 

余力分を計算しない限り評価することはできません。

 

 

 

余力分を含めて構造計算を行うのであれば別ですが、

 

それをしないのであれば、壁量は、記事内で五十田教授がおっしゃるように1.5倍〜2倍、

 

(より安全側でいうと)、2倍が必要であるとマツシタホームでは考え、

 

この9月より、全てのマツシタホームの住宅の壁量は2倍以上に変更いたしました。

 

 

 

耐震性能の高さをうたう多くの住宅会社では、住宅性能表示制度では最高等級の

 

「耐震等級3」に対応しますと書いてあり、それに必要な壁量は1.5倍です。

 

 

 

では、壁量1.5倍を2倍に変更したら、コストアップはどのくらいでしょう?

 

 

 

きちんと計算はしていませんが、10数万円程度ではないかと思います。

 

 

 

どちらを選びますか?

 

 

 

マツシタホームは、2倍を選びました。

 

 

 

マツシタホームの家は、全て、壁量2倍以上を最低基準といたします。

 

 

 

さらに・・・

 

 

 

この話はこの後の記事で・・・・

 

 

 


 
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