2016.08.24 Wednesday

「震度7でも住める家-等級3に加える4つの提言」日経HB記事より【その4】

「震度7でも住める家-等級3に加える4つの提言」日経HB記事より【その3】からの続きです。


恐れ入りますが、前の記事をお読みいただいてから、読んでいただければ幸いです。

 

 

今日の記事のタイトル。
 

 

 

 

大規模地震では、耐力壁の上下階のつながりの善し悪しが、

 

被害の大小に影響する可能性があると指摘されています。

 

 

 

その判断指標の一つが、上下階がつながる耐力壁の割合を示す「耐力壁直下率」です。

 

 

耐力壁直下率は高ければ高い方が良いと言われるが、

 

「善し悪しを判断する値の目安を示すのは難しい」と学識者は口を揃えているそうです。

 

 

ヒントを得るため、2000年基準の住宅でありながら大きな被害を受けた

 

9棟の耐力壁直下率を調べたところ、40%未満が8件ありました。

 

 

耐力壁が上下でつながっていない住宅の被害パターンの1つは、

 

2階をセットバックした下屋の倒壊だ。

 

 

層崩壊した住宅Cが一例【図1】です。

 

 

倒壊していた東西方向(Y方向)の耐力壁直下率は14.5%でした。

 

 

 

 

【図1】耐力壁直下率の低い住宅C
 

 

 

 

住宅Cを調査しているエムズ構造設計の佐藤実さんは、

 

「小幅板を張っていた下屋の野地板が地震でバラバラになっていた」と説明していました。

 

 

下屋の水平構面の剛性や横架材の接合部が弱いために、水平構面が壊れて上階から下階の

 

耐力壁に力を伝達できなくなった可能性がある【図2】と考えられます。

 

 

 

【図2】下屋がある場合の地震力の流れ1

[耐力壁が上下にずれて水平剛性が高い場合]


 

 

 

 

【図2】下屋がある場合の地震力の流れ2

[耐力壁が上下にずれて水平剛性が低い場合]

 

 

 

 

下屋を設ける場合は、下屋の小屋梁に火打ち梁を取り付けて水平構面の剛性を確保すると共に、

 

梁と水平構面をしっかり留め付けることが欠かせません。

 

 

さらに佐藤さんは、「下屋の野地板の剛性を構造用具おはんで高めて、小屋梁と野地板をつなぐ

 

束に雲筋交いなどを設けて2重の水平構面にするのが良い」と話しています。

 

 

住宅Cの場合、下屋の耐力壁に力を伝達できなくなったことで、1階が壁量不足になり、

 

層崩壊に至った可能性があります。

 

 

京都大学生存圏研究所教授の五十田博さんはその防止策として、

 

「下屋と下屋以外の部分を別々の構造体として捉え、

 

それぞれで耐震性能を満足させるのが良い」と助言しています。

 

 

さらに、五十田さんは、2階の耐力壁の直下に耐力壁を設置できない場合の次善策として、

 

千鳥に配置する方法を挙げています【図3】。

 

 

 

片側の柱の位置が上下で揃っていれば、地震力を下階に伝達できるといいます。

 

 

 

【図3】耐力壁を千鳥に配置して力を伝達
 

 

 

 

耐力壁が上下でつながっていない住宅の被害パターンのもう一つは、

 

梁がたわんで上階の耐力壁が効きにくくなり、上階が変形したり梁が損傷したりすることです。

 

 

直下に柱や耐力壁のない上階の耐力壁を「梁上耐力壁」と呼びます【図4】。

 

 

 

梁上耐力壁の強度がどの程度低下するかは、耐力壁の仕様や梁せい、スパンで異なるので

 

一概には言いにくいです。佐藤さんは、「直下率や梁上耐力壁を気にしたくないなら、

 

許容応力度計算が必要だ」と話しています。

 

 

 

【図4】地震動を受けた梁上耐力壁の動き
 

 

 

 

高い耐力壁直下率で被害軽減

 

 

住宅Cが建っていたエリアでは、比較的新しい住宅の著しい被害が目立ちました。

 

 

そのエリア内で軽微な損傷で住んでいたのが【図5】の住宅です。

 

 

建主から図面を入手し、耐力壁直下率を調べたところ、X方向は44%、Y方向は50%でした。

 

 

建基法に対する壁量充足率はそれぞれ1.85と1.32。

 

 

耐力壁直下率を高めておけば、大規模地震の被害を軽減できる

 

可能性を示唆するものと言えそうだ。

 

 

タマホーム(東京都港区)が2008年に建てていた。

 

 

 

タマホーム設計部部長の柴田秀稔さんは「当時は建基法の壁量をクリアした上で、

 

上下階の柱配置などに関する社内基準に基づいた設計を行っていた。

 

現在当社では、耐震等級3を標準仕様にしているが、熊本地震での経験を踏まえ、

 

構造の安全性についてはさらに力を注ぎたい」

 

と話しているそうです。

 

 

 

 

【図5】耐力壁直下率の高い住宅
 

 

 

 

【その5】へ続きます。

 

 

 

 


 
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