2016.08.23 Tuesday

「震度7でも住める家-等級3に加える4つの提言」日経HB記事より【その3】

「震度7でも住める家-等級3に加える4つの提言」日経HB記事より【その2】からの続きです。


恐れ入りますが、前の記事をお読みいただいてから、読んでいただければ幸いです。

 

 

今日の記事のタイトル
 

 

 

 

【図1】2010年に完成した住宅Aの本震後の様子。現行建築基準法の

1.25倍以上1.5倍未満の壁量に相当する耐震等級2で建てられている。
 

 

 

 

【図2】熊本地震の地震動でも倒壊しなかった住宅モデル。

準耐力壁を算入しないで等級3を満たした仕様に外装材を取り付けた。
 

 

 

 

大規模地震を受けても住み続けられる住宅にするには、

 

耐力壁の量を増やして、変形による損傷を減らすことが一つの方法です。

 

 

現行の建築関連法規で明示されているもので、耐力壁の量が最も多くなるのは、

 

住宅性能表示制度の耐震等級3です(建築基準法の壁量に対して1.5倍以上)。

 

 

 

そこで、建築基準法の想定を上回る熊本地震の地震動を使い、

 

熊本県益城町で倒壊した二つの住宅を例に、

 

等級3の性能があったら耐えられたのかを検証してみました。

 

 

 

検証の一つは、日経ホームビルダーの2016年7月号で倒壊プロセスを推定した

 

等級2の住宅Aです。

 

 

 

国土交通省国土技術総合研究所(国総研)が公開している地震応答解析ソフトの

 

ウォールスタットを使い、倒壊を防ぐために必要な壁量を求めました。

 

 

 

インテグラル(つくば市)営業企画部チーフマネージャーを務める木村良行さんと、

 

エヌ・シー・エヌ(東京都港区)技術開発部主任の小谷竜城さんなどに協力してもらいました。

 

 

 

まず、既存の筋交いの一部をたすき掛け(ダブル)筋交いに変更した

 

等級3の仕様(準耐力壁を算入)を満たすで検証したところ、結果は倒壊しました。

 

 

※準耐力壁・・・耐力壁の規定を満たさないが一定の耐震性がある壁、または垂れ壁、腰壁など。

 

 

 

そこで、ダブル筋交いを増やし、さらzに安全側として準耐力壁を算入しないで等級3を満たす

 

壁量で再検証したところ、また倒壊しました。

 

 

 

 

等級3をどこまで補強すればいいのでしょうか?

 

 

ウォールスタットを開発した国総研主任研究官の中川貴文さんがウェブサイトで公開した、

 

ある解析モデルの研究結果にヒントがありました。

 

 

準耐力壁を算入しないで等級3を満たした仕様に、サイディングを取り付けたものだ。

 

 

熊本地震の地震波を入力したウォールスタットの解析でも倒壊していない(図2)。

 

 

 

中川さんが解析に使ったのは、厚さ14mmの窯業系サイディングを釘留めした仕様です。

 

 

この仕様が余力として効いたようです。

 

 

せん断試験では、準耐力壁仕様の石膏ボードとの組み合わせで、

 

長さ1mあたり約3.5kNのせん断耐力が得られているそうです。

 

 

 

準耐力壁を算入しない住宅Aの等級3モデルに、同じ仕様のサイディングを追加して解析すると、

 

大破に近いが倒壊しませんでした(図3)。

 

 

 

東西方向の強い地震動を受けるX方向の壁量充足率は等級3の1.03倍、

 

建築基準法の1.98倍になります。

 

 

外装材がある状態でようやく耐えられます。

 

 

ただし、外装材はもともと耐力壁ではないうえ、種類や留め付け方、

 

劣化状態で強度が変わります。

 

 

本来は外装材に頼らない耐力が望ましいです。

 

 

 

そこで、1階から2階に力が流れやすくなる位置にダブルの筋交いを増やすなどして、

 

X方向の充足率を等級3の1.39倍、建築基準法の2.67倍したところ、

 

外装材なしで大破にとどまりました(図4)。

 

 

住宅Aを参考に、余力抜きで壁量充足率を高めたうえで、

 

余力は準耐力壁の仕様で施工したいものです。

 

 

 

【図3】住宅Aに外装材を取り付けて倒壊を防ぐ仕様。
 

 

 

 

【図4】住宅Aが内外装材なしで倒壊を防ぐ仕様。

 

 

 

 

 

 

■重い家は壁量を割り増し

 

 

益城町で倒壊した住宅B(日経ホームビルダー2016年6月号に掲載)の検証では、

 

荷重の考慮の必要性が浮かび上がりました。

 

 

建て主から入手した図面によると建築基準法の1.4〜1.5倍の壁量充足率を満たしていました。

 

 

ただ、ALC板の外壁、土葺き下地の瓦屋根、約3mの階高、袖壁で支えられたバルコニーなど、

 

建基法では考慮していない、荷重が重くなる要素が見つかった(写真1・図5)。

 

 

エヌ・シー・エヌの野中悠貴さんらが住宅Bの荷重を詳細に拾い、工学院大学名誉教授の

 

宮沢健二さんが壁量を再計算したところ、充足率は0.6程度になった(図6)。

 

 

荷重と地震力は比例するので、荷重は重要です。

 

 

建基法の必要壁量は、実際の建物より少なくなる傾向があるため、

 

住宅性能表示制度や耐震診断法は実態に近づくよう係数を見直ししている。

 

 

宮沢さんは「屋根や壁の重さと、ベランダの下の面積などを考慮することが必要。

 

住宅Bでは耐震診断法の非常に重い建物として計算するのが妥当だ」と話しています。

 

 

 

 

【写真1】重い外装材を施した住宅B。
 

 

 

 

上【図5】新築時の住宅Bの南側立面図

下【図6】異なる計算方法で検証した住宅Bの壁量充足率。


 

 

 

 

大規模地震に備える住宅の壁量に対する学識者の意見。
 

 

 

 

【その4】へ続きます。

 

 

 

 

 


 
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