2016.07.29 Friday

熊本地震の調査報告から【その3-簡易な液状化予測の限界2】

熊本地震の調査報告から【その3-簡易な液状化予測の限界3】からの続きの記事です。

 

前の記事をお読みになってから読んでいただければ幸いです。

 

 

 

不動沈下している住宅Aの外観。

築3年目の住宅Aの沈下量は最大90cmに達しました。

被害認定は大規模半壊になりました。
 

 

 

 

(図4)住宅AのSS試験の結果。

地震前はNsWが50以下だった層が0.75kNに下がりました。
 

 

 

 

(図5)住宅Aの液状化判定結果。

地震前のSS試験の結果を基に簡易判定法で判定した。

非液状化層の強度の高い層だけの厚さで再判定するとリスク大と判定された。
 

 

 

 

不同沈下している住宅Bの外観。完成して2か月後の住宅Bは、

液状化で1000分の19に傾き、沈下量は最大260cmに達しました。

被害認定は大規模半壊になりました。
 

 

 

 

(図6)住宅BのSS試験の結果。

地震前と地震後で推移が大きく異なる。さらに地震前は固いために打撃して

貫入させた砂層が、地震後に打撃なしで貫入できるようになっていました。
 

 

 

 

(図7)住宅Bの液状化判定結果。

地震前のSS試験の結果を基に簡易判定法で判定しました。

地震後の水位で再判定すると、リスク大と判定された。
 

 

 

 

(図8)側方流動の発生メカニズム。
 

 

 

 

側方流動で倒れた塀。

熊本市南区川尻地区の水路沿いに建つ住宅。

塀が水路の方にはらみ出している。
 

 

 

 

1950年代の秋津レークタウン周辺。

1957年に撮影した航空写真。堀田が広がっている。

細長い区画が堀田の特徴だ。
 

 

 

熊本地震で液状化した被災地を度々訪れ、40棟以上の現地調査をボランティアで行っている

 

WASC基礎研究所(大阪府茨木市)社長の高森洋さんは、南区の住民から新築時に実施した

 

SS試験の結果を2棟分(住宅Aと住宅B入手し、それを基に液状化危険度の判定を試みたところ、

 

2棟とも液状化のリスクが小となりました(図4〜図7)。

 

 

 

判定には、日本建築学会の小規模建築物基礎設計指針で規定している

 

簡易判定法(H1、H2法)を使用し、地震後に実施したSS試験結果とも比較しました。

 

 

 

高森さんが注目した第一のポイントは、住宅Aの地震前の裨益浄化槽で見つかった

 

強度の小さい層が、地震後にさらに小さくなっていることです。

 

 

「強度の小さい層は、液状化の噴射を抑え込むことが出来ず、噴射が通過して

 

弱くなったのではないか」と高森さんは話しています。

 

 

 

二つ目は、住宅Bの水位が地震前より約2m高くなっていることです。

 

 

地震後の水位で再判定すると、リスクが大に変わる。

 

 

高森さんは、地震前の調査で、「粘性土」と記録されていた土を採取し、土質試験も実施した。

 

 

その結果、微細な砂であることが分かりました。

 

 

SS試験では音と感触で土質を推定するので、砂質土と粘性土を間違うことは少なくないのです。

 

 

「簡易判定法は便利な方法ですが、判定を謝る可能性が少なくないことを再認識した。

 

土質の調査と正確な水位を測定するボーリング調査が不可欠です」と高森さんは話しています。

 

 

 

 

水平にも動く速報流動が発生

 

 

熊本市南区川尻地区などの水路や川に近い場所では、液状化の思わぬ被害も見つかりました。

 

 

地盤や建物が沈下するだけではなく、水平にも動く側方流動です。

 

 

水路や川に近い場所で液状化が起こると、護岸や擁壁に流動化した地盤の圧力がかかり、

 

これに耐えられなくなり護岸や擁壁が壊れたりはらみ出した影響で地盤や建物が水平に動く、

 

というのが発生のメカニズムです(図8)。

 

 

側方流動では、建物が大きく傾いたり、地中に埋めた悔いが曲がったりする恐れもあります。

 

 

地盤ネット(東京都中央区)技術本部副本部長の横山芳春さんは、「擁壁や護岸が弱い場合の

 

対策は、個人では困難だ。こうした場所には家を建てないのが賢明だ」と話しています。

 

 

 

液状化の発生リスクをハザードマップや簡易判定以外の観点からも調べたい場合には、

 

地形区分や土地の履歴のチェックも重要です。

 

 

熊本地震で被害が多くみられた地形区分は自然堤防でした。

 

 

近見・日吉・刈草地区や川尻地区などが該当します。

 

 

 

土地の履歴でジャパンホームシールド(東京都墨田区)が注目したのは、

 

堀田と呼ばれる水田だった場所です(写真6)。

 

 

熊本市東区秋津地区など、堀田を埋め立てた数ヵ所が液状化しました。

 

 

同社技術推進部部長の小尾英彰さんは、「堀田は全国各地に作られて、圃場整備でなくなった。

 

水田の埋め立て地は要注意だ」と話しています。

 

 

 

 

今回の熊本地震の結果を見ると、

 

行政が出している液状化ハザードマップはあくまで参考程度にした方がよさそうです。

 

 

 

マツシタホームの営業エリアは茨城県の南東部と千葉県であり、

 

地盤液状化被害は、本社エリアでも、千葉エリアでも、多数ありました。

 

 

東日本大震災時に液状化した土地はいうまでもありませんが、

 

近隣で液状化のあった土地の場合は、SS試験だけではなく、

 

昨日も申し上げた通り、ボーリング調査を行って液状化の詳細判定を行うべきです。

 

 

 

他に、地盤液状化の可能性を正確に知る方法はありません。

 

 

 

また、この記事にあったように、護岸や擁壁の近くでは、

 

「側方流動」という、液状化した地盤が流動化して側方へ動くという危険性があります。

 

 

 

今回、私たちが行った被害調査では、地盤液状化以外でも、

 

土留め擁壁が倒れることによって地震の揺れが増幅し、

 

被害が拡大したと思われる建物が多数ありました。

 

 

 

地盤液状化の可能性がある地域での地盤のボーリング調査と液状化の詳細判定、

 

そして土留め擁壁がある場所は土留め擁壁の強度、この2点がとても重要であることを、

 

今回の熊本地震はあらためて警鐘を鳴らしたのだと思います。

 

 

 

 


 
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