2009.11.15 Sunday

一番事故が多い階段・・・その設計で大丈夫ですか?

国民生活センターは、

生活上の危険を調査して、国民に注意を呼びかけるのが仕事ですが、

その一つで、「くらしの危険 家庭内で圧倒的に多い階段の事故」という記事を掲載しています。



国民生活センター 「くらしの危険 家庭内で圧倒的に多い階段の事故」
http://www.kokusen.go.jp/kiken/contents238/index.html






ちなみに、この調査は、国民生活センター「危害情報システム」という、

全国20の協力病院でのサンプル調査です。


サンプル調査ですから、件数は気にしないで、パーセンテージの方を見てください。
091114階段事故の年齢別件数

 

4才迄の乳幼児の階段事故が最も多い

階段で事故にあった人の年齢は、

0〜4歳の乳幼児が33.4%を占めて最も多く、

65歳以上の高齢者も15.0%と多くなっています。



重症者は高齢者が多い

年齢別とけがの程度をみると、乳幼児の場合は事故件数は多いが重症は少なく、

50歳以上になると重症や死亡事故など、けがの程度が重くなる傾向があります。





091114階段事故のけがの種類別件数



骨折が多く、後遺症が心配なケースも多い

階段でのけがの種類では「擦過傷・挫傷・打撲傷」が65.0%で多く、

次いで「骨折」が15.9%です。


家庭内の骨折事故件数で、階段は23.9%を占め、

階段は骨折の最も起きやすい場所です。


「脱臼・捻挫」や、後遺症の起きやすい「筋・腱・血管の損傷」、「頭蓋内損傷」といったけがの種類でも

階段は家庭内事故の件数で第1位です。







このように、階段は、住宅の中でも重大な事故の起こりやすい、

非常に危険な場所なのです。



乳幼児のいらっしゃるお宅は、特に、その危険性をよく理解しておく必要があります。



また、誰でもいつかは高齢者になるわけで、

いずれにしても、これから家を建てる方は、

階段を設計するにあたって、いかに階段事故を減らすかを考える必要があります。





では、階段事故を極力減らすための設計について、お話します。



安全な階段の条件とは、

ヽ段の勾配は緩やかなほど安全。

⊆蠕△鯲沼Δ棒瀉屬垢襦

3段は真っ直ぐにして曲がる部分を作らないか、曲がり部分をより安全な設計にする。
※曲がり部分での事故が非常に多いため

3蠅蠅砲い階段材を使用するか、滑りにくい加工をする。

っ壁,鮑遒蕕覆い、足を引っかからない設計にする。






この後は、上記の項目を詳しく説明していきます。





ヽ段の勾配は緩やかなほど安全。


階段の勾配は、住宅金融公庫のバリアフリー基準を満たす程度が一般的です。


住宅金融公庫のバリアフリー基準とは、22/21(蹴上寸法/踏み面寸法)以下の勾配です。




住宅性能表示制度でバリアフリー最高等級(マツシタホームでは標準で対応可能)だと、

6/7(蹴上寸法/踏み面寸法)以下の勾配です。

※年金バリアフリー住宅も同じ基準



通常の天井高(2500前後)では、

住宅金融公庫のバリアフリー基準を満たす程度の22/21だと通常では14段以上、

住宅性能表示制度でバリアフリー最高等級の6/7だと通常では17段以上になります。


091114階段基準
建築基準法(最低基準)と、住宅金融公庫基準、年金バリアフリー基準、住宅性能表示制度の等級5基準


階段の幅・踏み面・蹴上げ
階段の幅・蹴上げ・踏み面とは、
図の中の矢印で示した部分を指します。





⊆蠕△鯲沼Δ棒瀉屬垢襦

これ、実際は、すごく重要だと思っていますが、

片側で良いというお客様が多くて、なかなかお客様の理解が得られにくい部分なんです。



片側手すりは、降りるときの方が事故が多いため、

降りるときにつかみやすいように利き手側が基本ですが、

実際には利き手と逆に倒れることも普通に考えられます。



なぜ、片側手すりが一般的になったかというと、(個人的見解ですが)

尺モジュールでは、両側手すりだと狭さを感じるからという理由だと思います。



実際は、階段事故が一向に減らないわけですから、

片側手すり一般的だから安全というわけではなく、

階段事故を減らそうと思えば、絶対、両側手すりです。







3段は真っ直ぐにして曲がる部分を作らないか、曲がり部分をより安全な設計にする。
※曲がり部分での事故が非常に多いため



階段の形状は、直階段が一番望ましい階段形状ですが、

曲がり部分を含む場合は、曲がり部分の階段形状に一定の決まりがあります。



最も一般的である、公庫のバリアフリー基準でも決まりがありますが、

競合他社の図面を見ていると、

大手も含めて、正直、プロの設計者でもよく間違っているのを見ます。



人の命を預かる仕事なのに、

設計者の意識が低いことに、私は驚いてしまいます。

階段の形状



直階段は子供の頃落ちた経験があるからとか、落ちた話を聞いたとかで、嫌う方も多いのですが、

実は、勾配を緩くしたり、両側手すりなどの安全対策をすれば、

最も安全な階段です。




(い)の階段形状の場合、下の階の最初の部分でのみ、90度以下にしても良く、

30度(正方形の3段割り)以内が公庫などバリアフリー基準全ての決まりです。




階段の途中や、一番上の部分で曲がっている場合、

踊り場しか設けてはならない決まりになっています。




これ、他社の図面で時々、間違っているのを見かける一つです。


このような設計では、曲がり部分で転落することが非常に多いため、危険です。




(ろ)(は)の折れ曲がり階段(これを回り階段ということが多い)の場合、

(ろ)の踊り場、踊り場で折り返すのが理想です。




しかし、それではスペースを取るため、

(は)の60度、30度、30度、60度の角度で180度折り返すか、

ここには絵がありませんが、踊り場、30度、30度、30度で180度折り返すか、

このいずれかが、公庫などバリアフリー基準全ての決まりです。



これも、他社の図面で時々、間違っているのを見かけます。





90度未満(通常は30度の2段割りか45度の2段割り)の階段を設けて曲がる場合、

階段を降りるときにその部分で転びやすいため、

曲がり部分の直下には、踊り場か、または下の階、

つまり曲がりの下には平らな部分がないと危険ということになります。



その唯一の例外が、踊り場、30度、30度、30度で180度折り返すという形状です。




この回り方は、一番、リズムよく回れて、つまずきにくいと言われていて、

万が一、転んだ時にも下の60度の部分で止まるからです。






3蠅蠅砲い階段材を使用するか、滑りにくい加工をする。


これは、住宅用の階段材として市販されているものなら、(日本の大手メーカーならまず大丈夫)

ほとんどはそういう配慮がされていると思いますので、たいていは大丈夫です。



元々、階段材以外の素材を階段材として利用する場合などは、

設計者に念のため、確認した方がいいと思います。






っ壁,鮑遒蕕覆い、足を引っかからない設計にする。

これは、公庫のバリアフリー基準にはなく、住宅性能表示制度の最高等級の基準ですので、

あまり一般的ではないですが、やるに越したことはありません。

(弊社でも一部仕様のみの標準です)



段鼻とは、下記の図で30mm以下と書いている部分で、

黄色い部分が足を引っかからないようにする部材です。(弊社では段鼻段差解消材と呼んでいます)

 



これは、わが社のようなメーターモジュールの会社が有利なため、番号には入れませんでしたが、

階段幅は、有効で90cm近くは欲しいところです。



理由は、両側手すりを設けても狭くならないこと、

もうひとつは、将来階段昇降機が必要になった時、健常者の利用も不自由がないからです。






今日は、大作になってしまいました。


最後まで読んでくださり、ありがとうございました。





 
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